最終更新日:2024/07/18
こんにちは!宮城まるごと探訪地元Webライターの堀口りなこです。
本格的な夏の暑さが今年も到来しています。
まるでサウナのように熱されている街から少しだけ離れて、涼しい海風を感じに行きませんか?
これからご紹介する街は、海の街の1つである宮城県亘理町(わたりまち)です。
仙台市から車でおよそ1時間弱の場所にあり、ドライブにも最適ですよ。
サーフィンを楽しむこともできます。
今回筆者が目につけたのは、新鮮な海のごちそうです。
旬の「海鮮名物」やミネラルたっぷりの「海苔」は、この夏を乗り切るのにぴったりなグルメ。
「美味しく食べられることも、当たり前のようで当たり前ではない」
筆者は取材を通して、改めて大切なことを教わったような気持ちになりました。
ぜひご覧いただき、地元の皆さんの想いに触れてみてください。
「魚屋hide菊地食品」地場海鮮ならではの“極上”の美味しさ
荒浜漁港のすぐ目の前には「荒浜にぎわい回廊商店街」と呼ばれる、アーケード付きの商店街があります。
駐車場の入り口近くを通ると、インパクト大な看板がすぐに目に飛び込んできます。
何を隠そう、今回筆者は、今が旬のあなご丼をはじめとする海鮮名物を求めて、この商店街にやってまいりました!
荒浜にぎわい回廊商店街は、2011年の震災後に、地元の商業店舗さんたちが立ち上げた商店街です。
これから取材する「魚屋hide菊地食品」さんをはじめ、全部で8つのお店が軒を連ねています。
商店街の1番奥まで進むと、目的のお店が見えてきます。
店名の「hide」は、お店の代表である菊地秀喜さんのお名前が由来になっているそうです!
お店に入ると、お魚の販売コーナーがすぐに目に入ってきます。
お食事はもちろん、焼き魚をお土産にするのもオススメですよ。
店内はカウンター席から、テーブル席、小上がりの席まで用意されています。
こちらは、夏の市場ごはんとされている「荒浜あなご丼」です。
力を入れることなくお箸で切り分けられ、口の中でとろっとほどけていきます。
それでいて身がふっくらとしているので、まさにパーフェクト!期待を裏切りません。
筆者の同行者も「こんなに厚みがあってふっくらしているあなごは、食べたことがない!」と悶絶していました。
小骨を全く感じさせないのは、丁寧な下処理の工程にあります。
ちょこんとのっている渦巻き状の正体は、あなごのせびれのから揚げです。
塩気がきいていて、よいアクセントになっています。
お店の名物はこれだけではありません!
オールシーズン豊富に獲れる平目を活かした「荒浜平目天丼」も大人気。
器からはみ出るほどのボリュームがあるため、お客様の中には、パックに入れてお持ち帰りされる方もいるのだそうです。
衣はさくさくですが、中の身はふわふわで肉汁があふれるほどジューシー。
この写真からは見えにくいのですが、奥には塩で食べる用のもう1枚がのっていて、天つゆと塩の両方で楽しめる贅沢な一品です。
大満足な食事を経て、代表菊地さんの奥様からお話しをお聞きしていきます。
魚屋hide菊地食品さんは、もともとは魚屋と仕出しが中心だったとのことですが、商店街の中にお店を構えることとなり、魚屋をメインにしつつ飲食店も始める運びとなりました。
お客様との関わりの中で「亘理には“地場”のものを求めにきていること」が分かってきたそうで、荒浜で水揚げされる魚をできるだけ使っていこうと、こだわり続けています。
気がつけば無我夢中で、あっという間に月日が経過していたとお話しされます。
海水温の上昇により、今まで獲れていた種類の魚が、捕れにくくなっているという現状もあります。
「ずっと変わらないものはないですが、大きいもの(震災)を乗り越えられたから、そのぐらいは工夫していけると思えるんです」と前向きにお話しされる姿が、印象的でした。
確かに、ここ10年ほどの間に起きた「震災」や「流行り病」は、予期せぬ出来事の繰り返しでしたよね。
きっと多くの皆さんが、変わらないことの難しさを考えさせられたのではないでしょうか?
それでも魚屋hide菊地食品さんは、足を止めることなく、力強く前進し続けています。
ぜひこの地で、「地場ならではの美味しさ」を味わってみてくださいね!
地元の誇り!海苔屋の情熱が溢れる「あらはま海苔」
土日限定で営業されている「あらはま海苔直売所」さんにやってきました。
古くから海苔養殖が盛んに行われてきた荒浜。
ここで作られる海苔は「皇室献上」されるほど品質がよく、リピーターも続出しています。
筆者はオープンの10時にお邪魔したのですが、営業開始直後から、お客さんがひっきりなしに訪れます。
「わざわざ遠いところから・・・ありがとうございます!」
お客様1人ひとりに丁寧にお話しされているのは、会社の代表を務める菊地さんの奥様。
まずは奥様から、おすすめの海苔を教えていただきます。
看板商品は、松竹梅の焼海苔シリーズです。
海苔は、毎年12月から4月にかけて収穫されるのですが、最初に摘まれる海苔を「1番摘み」と呼びます。
この1番摘みで作られているのが「松」であり、貴重な葉先のみで作られているため、3種類の中では最も柔らかく、香りも豊かなのだそうです。
「竹」はちょうど中間にあたり、手巻き寿司にぴったりの歯切れの良さが楽しめます。
ほどよい硬さの「梅」のぱりぱりとした食感は、お子様などにも好評なのだそう。
おやつ代わりに海苔を食べ過ぎて怒られていた幼少期の記憶が、筆者も蘇ってきます。
(海苔の収穫までの流れを図式化しました)
海苔づくりは、8月のお盆明け頃から活動が本格化するとのこと。
海の上での作業が中心なので、道中で偶然見れるというわけではなく、なかなかイメージがつきにくいですよね。
お米作りに置き換え、海苔の種付けは「種まき」、摘採は「稲刈り」と考えてみると、分かりやすいでしょうか。
商品によっては、パッケージの裏面にも年間スケジュールが紹介されていますよ。
よく見ると「システム船」という小さな文字があることに気づきませんか?
あらはま海苔合同会社さんには、海苔の摘み取りを一気に革新的に変えた「システム船」があるそうです。
ここから先は、代表の菊地幹彦さんに、詳しくお話しを伺っていきます。
今回、快く撮影許可をいただいたこちらのシステム船は、ステンレスの格子が張り巡らされており、通常の船とは風貌が異なります。
この格子で海苔網をすくいだし、両手両足で操船して摘み取る仕組みになっています。
機械が作業を一式行ってくれるので、船の操縦者が「1人」いれば十分なのだそうです。
とても画期的なシステムですよね。
写真からは少し分かりにくいのですが、この中が船室です。
あらはま海苔合同会社さんは、合計17人で構成されており、そのうち海で作業される方は9人。
限られた人数の中で効率よく作業を行い、人的負担の軽減に努めています。
この船が導入されたのは2013年。震災から2年の月日が経っていました。
「今もこうして海苔を続けているのが、なんだか不思議な感じがするんだよね」
そうお話しされます。
2011年に発生したあの震災は、誰しもが経験したことのない非常事態でした。
あの日を境に、生活も風景も一変し「もう海苔屋はやめよう」と、最初は考えたそうです。
しかし、幸いにも建物の被害が少なかった近隣の町に住む仲間たちが「海苔しかない」と奮起する姿を見て、再出発の道を選ぶことにしました。
これを機に、これまでは別々に事業を行ってきた町内の海苔屋さんは、1つのチームとなったのです。
復興の道のりは平坦ではなく、関係機関との掛け合いも続く日々でしたが、2012年には事業を再開させるスピード感。
同じような悩みを持つ事業者にとっても、いつしか復興のモデルになりました。
生産者の背景を知ると、海苔が当たり前に食べられているのは、実はとても尊いことだと気づかされます。
今では、海苔ができるまでの過程を知ってもらおうと、学生の見学受け入れも積極的に行っているそうです。
また今年も実りある収穫となりますように。
皆さんもぜひ美味しく食べて、応援してみませんか?
筆者は松竹梅の焼海苔ときざみのりを選びました。
これでもかと言わんばかりに、きざみのりをたっぷりかけていただきます。
夏の季節は、冷たいうどんやおそばのお供にも大活躍しそうな予感・・・!
まとめ
・荒浜にぎわい回廊商店街にお店を構える「魚屋hide菊地食品」は、荒浜あなご丼や荒浜平目天丼が特に名物。たっぷりのボリュームかつ新鮮さに定評がある。
“地場”のものを求めに来訪するお客様のニーズに答え、荒浜で水揚げされる新鮮な魚をメインに提供している。
・「あらはま海苔」は、温故知新を大切にしながら、海苔の養殖の歴史を紡いでいる。
システム船を導入することで、海苔の摘み取りを一気に確信的なものに変えた。
看板商品の松竹梅の焼海苔シリーズを始め、良質な海苔に夢中になるリピーターが続出している。
魚屋hide菊地食品
【場所】 宮城県亘理郡亘理町荒浜築港通り−6−34
【連絡先】 0223-35-2849
【営業時間】10:00 ~ 16:00(食事は11:00 ~)
【定休日】 月曜日(祝日の場合は翌日)
【駐車場】 有り(荒浜にぎわい回廊商店街の共用駐車場となっています)
【SNS】 https://www.instagram.com/hide__fish_shop/
あらはま海苔直売所
【場所】 宮城県亘理郡亘理町荒浜字隈崎175-1
【連絡先】 0223-35-7330
【営業時間】10:00 ~ 14:00
【営業日】 土曜日・日曜日(最新情報は、Instagramをご確認ください)
【駐車場】 有り。
【SNS】 https://www.instagram.com/arahamanori/
この記事のライター
ニックネーム/堀口りなこ 1994年生まれ。福島県中通り出身です。 2023年の春より、ご縁があって宮城県にまいりました。 ねことコーヒーをこよなく愛しています。美味しいものも大好きです。 宮城県の魅力をたっぷりとお届けしていきますので「お、ここ行ってみたいかも!」と、少しでも感じていただけたらうれしいです。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
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